SA-910の修理 -その21-

おはようございます、Tomです。昨日は、お盆の中日でしたので、お墓参り(Tomの家では理由があって14日に行います)、お盆礼(親戚へのご挨拶)をしたりすると午前中はそれで終わり、午後は、親戚や兄弟の方がお盆礼にいらっしゃいますので、とても修理をする時間はありません。それでもイコライザアンプの事が気になって、時間を見つけては修理をしていました。
先日、イコライザアンプを修理しようとして、基板の上下のハーネスが邪魔で修理を諦めましたが、何とかならないのか?とよく観察して見ると活路を見出す事が出来ましたのでご報告いたします。


1.イコライザ基板のハーネスの観察
 先ほど書きましたが、『このハーネスの配廻し何とかならないのか?』『何とかしてあまりハーネスを切らないでイコライザ基板を取り出せないのか?』『サービスの人を考えたら絶対あるはず!』という事を考えながら、根気良く配線を観察しました。
 すると、配線に見事な工夫を発見!下記写真の指で摘んでいるハーネスが途中で折り返しているのが判りますか?これが謎を解く鍵だったのです。そして、このハーネスの謎解きがイコライザ修理のスタートとなりました。


2.ハーネスクランプを外し基板を持ち上げる

 先ほど途中でターンしていたハーネスをクランプから外し、配線の結束バンドをニッパで切ると、アンプ下の配線に余裕が出ました。そこで、今度はイコライザ基板を一気にアンプ上部に引っ張り出します。すると、埋まっていたイコライザアンプが上部に出て来ました。ここまで来ればこっちのもんだ!

 

3.基板を2つに分離するために電源ハーネスを切断
 ハーネスを切断せずイコライザ基板を取り出す事に成功しましたが、この左右の基板を分離しないと作業は出来ません。上部の電源ハーネスがしっかり2つの基板を繋いでいますので、これ以上ハーネスを切らないで進めるのは無理です。何とか最小限のハーネスカットで終わらせたい。また、よーく観察すると、実はこの電源ハーネス端子は、半田付けされていて、ラッピングではなくなっています。良く見る一番上の電解コンデンサが、片方は電解コンデンサ、もう一方はタンタルとなっており、一度修理した形跡が・・・・。
よし、この電源ハーネスは外そう。

B電源からのハーネス3本外しました。
見事に2つの基板は分離し、一気に作業性が良くなりました。

4.回路図と現物をチェック

 さあ、ここまで来れば、後は怪しい部品を交換し、再半田をするだけです。その前に回路図のチェック。なぜなら、前回のフィルターアンプでは、電解コンデンサの極性が、回路図と現物で異なっていたからです。今回はどうかな?コンデンサの極性は合っているようですが・・・・・・え”っつ!サービスマニュアルと現物の基板構成が異なっています。これは、海外のサービスマニュアルなので、国内向けとイコライザ基板が異なっていたのでしょう?そこで、今回は、現物重視で交換してゆきます。コンデンサの購入リストは、サービスマニュアルから拾いましたので、果たして現物と同じものになっているか心配ですが、とりあえず部品を外してチェックしながら交換しましょう。

5.電解コンデンサの交換

 このイコライザ基板は小さい基板であるのにもかかわらず、電解コンデンサの数は1枚に対し6〜7個存在しています。トランジスタの劣化も怪しいですが、作業手順としては、まずコンデンサ交換、そしてこの基板は微小電流、高増幅率というデリケートな場所なので、全ての部品の半田を全て吸い取り、再半田付けを行います。それでひとまず取り付けて、それでもダメならトランジスタを新品に交換します。
まずは、コンデンサの交換です。2枚の小さな基板で、こんなに電解コンデンサを交換しました。


電解コンデンサはリストから拾って購入しましたが、サービスマニュアルと現物の構成が異なりますので、部品が果たして合うのだろうか?ちょっと心配しましたが、実際は殆どの部品は、定数が一緒でした。しかし、2.2μFの電解が2個足りません。良く見ると入出力のカップリングに使用しているようですので、先日購入した1μFの積層セラミックを2個パラってつける事にしました。

6.古い半田を全て吸い取る

 コンデンサの交換が終わったら、今度は古い半田を半田吸い取り機で吸い取ります。70年代の半田は、フラックスがいけません。

7.新しい半田を再半田し基板をクリーニング

 古い半田を全て取り除き、新しい半田を再半田します。そしていつもの様にアルコールと歯ブラシの登場です。今回は広範囲に再半田いたしましたので、きっちりとブラシで清掃します。

8.ブラケットを取り付け、基板を戻す

 基板にブラケットを取り付け、基板をシャーシーに固定しします。

9.電源ハーネスを半田付け

3本の電源ハーネスを半田付けし、元通りになりました。

10.ノイズの確認

 さて、最後にイコライザのノイズの確認です。電源をいれ、入力をPHONOモードに設定し、徐々にボリュームを上げます。修理前に比べ、格段にノイズが減っています。但し、他の入力に比べ、多少『サー』と言う残留ノイズと『ブーン』というハム音が聞こえるかなと言う感じです。

現在、6:30です。今日の修理の記事はここまでです。次回はトランジスタを交換し、『サー』という残留ノイズを消しにかかりたいと思います。