クリスキットの基板を用いたパワーアンプ(P-35T)の修理  ―その1―

皆さん、こんにちは、Tomです。1週間のご無沙汰でした。本日は日曜日です。ブログの更新が1週間も間が空いてしまいました。別にサボっていた訳では無く、先週は仕事が忙しく、そして、プライベートでは、近所にご不幸が2件あったりして、時間が取れませんでした。しかし、その合間を縫って、五月の連休前に故障してしまった、クッリスキットの基板を用いて製作した自作アンプ(P-35T:TomのイニシャルをとってTと名付けました。)の修理をしておりました。やっと修理も一段落し、本日の午前中は少し時間が取れましたのでブログを書く事にしました。

今回の修理は、非常に厄介でした(でも少し不具合は残っている)ので、3〜4回に分けて、レポートします。

1.P-35Tの症状 
さて、このP-35Tは、Tomの憧れだったマルチアンプを5月の連休に合わせ、ヤフオクでクリスキットのパワーアンプP-35IIの基板をジャンク(2枚で3000円)で購入し、今年2月〜3月にかけて製作したものでした。

http://d.hatena.ne.jp/tomtom1ono/20120301/1330554813

ところが、4月頃から音がにごり出し、その後、5月の連休を目前に、ついにスピーカーからバリバリという音を立て、スピーカーのフューズが飛んでしまったのです。それ以降、気分も落ち込み、全てがうまく行かなくなり、このアンプの修理も棚上げになっていました。
 そうです、4月〜5月にかけての、憂鬱だった原因の殆どは、このP-35Tと何度修理しても直らない無線機(FT-726)だったと思います。
 まあ、それは良いとして、今回のP-35Tの故障の症状は、下記の2点です。

 ① 音が濁る(なんかスッキリしない)
 ② 右チャンネルのスピーカーからバリバリという音が聴こえる。

最近、少し調子が出てきたので、そろそろ修理に取り掛かり始めました。

2.まずは段取り
 まず、ファイナルトランジスタに行っているハーネスを分離します。これは以前から計画していた事で、修理をしたり、バイアス電流を調整する時にいちいちハンダ付けを外すのはとっても面倒。せめて圧着のコネクタにしておきたいと思っていたのでした。
しかし、近くにパーツ屋がないので、仕方なくDIYに行き、何か適当なものはないか?物色してみました。するとこんなのが有りました。圧着式の中継コネクタです。Tomのニーズにピッタリのものですね。

トランジスタに配線されているハーネスを途中で切断し、このコネクタを取り付けました。

3.状況の把握
 段取りが済んだので、まずはデジタルオシロで右チャンネルの状況を把握します。
電源オンしてしばらくすると、下記の様な信号が検出されました。電源に連動しているかも見るために、上のCH2のシグナルは+電源のシグナルを同時に見ています。
信号は、ー25V近く迄引っ張られています。これではたまりません。
それと、電源も、本来なら±30V得られるはずですが、それも27Vに留まっています。これも変ですね。

4.電源の状況把握
 電源は、プラスマイナスともに出力されていますが、電圧が低く、多少波打っていることが判りました。片側約13200μFでリップル??これは変です。しかも、それが出るときと出ない時が有る事も判りました。耳を澄ますと、電源からかすかに『ジー』という音が聞こえます。これはますます怪しいです。

5.音はブリッジからだった。
 『ジー』という音は、なんとブリッジからだった。ブリッジは確か手持ちで一個ぐらいはあったかと思ったが、いくら探しても見つからない。そこで、次の日の会社の帰り、お友達のKamaさんから戴いて来た。
 ブリッジを交換したが、『ジー』という音が止まらない。
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6.電源を再編
  写真のように、ブリッジ以降の部品が悪さをしているのかを確かめるために、ブリッジを残して、電源の全ての部品とパターンを取り除いた。
 ところがそれでも電源ON直後3〜10秒ノイズが乗ることが判った。
 ブリッジの入力を調べてみたら写真の様に、既にトランスから入るAC電源にノイズが乗っていることが判った。

 1)通常のACライン


  
 2)ノイズが乗ったACライン
  これじゃ音が歪むのも無理ないよね。

7.もしかしてトランス?
 今更トランスを購入か?と思って、中古のトランスがないか検索したら、なんと、いつもはほとんど見かけないクリスキットのトランスが3000円で出品されているではないですか?これは、神のお導きと思い、すぐに入札した。ところが、次の日落札だったが、その日は会社が終わったあと、隣の県の娘を迎えにゆくことになり、落札時間までには間に合わなかった。敢え無く落札失敗。

8.スイッチング電源を発注!
 そこで、仕方なく電源をスイッチング電源にして見ようと思い始めた。昔ならともかく今のスイッチング電源は、とても性能が良く、ノイズも少ない。かねてからスイッチング電源でアンプを作ってみようと思っていたので、ちょうどいい機会だと思った。ヤフオクで検索すると、新品で24V、4.8Aの電源がなんと1500円だったので、すぐに2個発注。

9.原因を発見
 スイッチング電源の発注後、暫く電源周りを見てみたら、なんとトランスの入力、つまり100VACに下記の様なノイズが入っている事を発見した。トランスの前になるともう電源スイッチしかない。もしかしてここか?

10.スイッチのバラシと交換 
 1)フロントパネルのバラシ
 電源スイッチを取り出すためには、フロントパネルをばらさないといけない。とにかくこれを実行する事に。
 

 2)電源スイッチを取り出す。
 


 3)電源スイッチの交換

11.電源の歪みの原因はこいつだ!
  取り外したスイッチをバラしてみたら、なんと接点が丸焦げだった。おそらく接点不良でスパークしたに違いない。そのスパークノイズが電源に乗ったと思われる。




<あとがき>

これで、2つある問題のうち1つは解消された。後は、もっと大変なバリバリというノイズだ。頑張ろう!
その2をお楽しみに!