クラニシ アンテナアナライザー BR-510の修理 −その5−

お早うございます、Tomです。昨日の夕方は寒かったですね〜。会社の帰り、外気温は-3℃でした。これじゃー今朝は、-5℃くらいになるのでは?と思いましたが、現在5時ですが、果たして外気温は何度でしょう?

先週末FITのリアカメラを取り付けてから少し疲れたのと、今週は結構忙しくて、ブログを書いていませんでした。大変申し訳ありません。


さて、本日は久しぶりにクラニシのアンテナアナライザーの修理の記事をアップしたいと思います。会社のお友達やローカルのお友達のアドバイスを頂き、アナライザの仕組みを理解出来たので、少し前進する事が出来ました。

【方針を立てる】
 先般の修理で、電源部は問題ないことが判りましたので、今度はバリアブル発振回路の解析を行います。それには、きちんと方針を立てて進めることにしました。

 1.アナライザがきちんと発振し、電波を出しているかを確認する。
 2. アナライザの発振回路を理解する
 3.アナライザの発振回路が動作品と同じ様に出力されているか?を確認する。

【解析を行う】
 さて、これからは、発振回路の動作の確認を行いますが、上記で打ち立てた方針に従い、一つずつ確認して行きます。

1.アナライザがきちんと発振し、電波を出しているかを確認する。
  まず、アナライザがきちんと発振して、電波を出しているかどうかを、確認します。これは、ローカルのKamaさんから頂いたアドバイスです。アンテナアナライザですから、アンテナとの共振を見ているはずですので、その周波数の電波を一度アンテナ側に送り出しているはずです。そこで、動作品と故障品の出力を無線機に直接繋いで、電波が出ているのかどうかを確認します。

 1)動作品の電波の状態
 動作品を無線機につなぎ、あまり影響のない周波数を選び同調してあげると、下記の様にきちんと電波が出ている事が確認できました。
 (Sメーターのレベルがフルスケールになっています。)

 2)故障品の電波の状態
 次に、故障品の電波の状態を見てみました。先程と同様にアンテナアナライザを無線機に同軸ケーブルで直付けします。
 すると、周波数は見えませんが、周波数を可変させるダイアルを回すとある地点で同調する地点があります。レベルは低いですが、発振はされ、なんとか電波は出している様です。

2. アナライザの発振回路を理解する  
 次に、アナライザの回路で、どこが発振回路なのか?という事を理解する事です。当初、回路図を見て、一生懸命水晶発振子を探しました。しかし、そんなものはどこにもありませんので、非常に困ったのです。そこで、会社のお友達であるSakaさんに相談してみると、これは、どうもバリキャップで容量を可変するLC発信機の様です。
 迂闊でした。確かに周波数を可変するんだから、水晶発振子等の一定周波数ではHF〜144MHz、430MHzまで可変できませんね。
それから可変させるには、バリキャップが使用されていること。バリキャップは、電圧を可変させると、コンデンサの容量が変化するという素子です。
そして、FETを使ってLC発振器としています。下記がFETを使用した簡単な発振器です。
http://www4.zero.ad.jp/electronics/conv/osc2411/osc2411.html

そして、クラニシのアナライザは、上記の回路とほぼ同様の回路で発振させている事が判りました。さすがSakaさん!やっぱ無線機に詳しいですね〜。大変ありがとうございます。
この回路図の点線で囲った範囲が発振回路です。
(回路図をクリックすると、全体が見えます。)


 ① DCCon12Vと書いてある箱は、DC-DCコンバータだと思います。何故、ここでまた12Vをわざわざ作っているのか?
 Tomが思うに、この電源は、バリキャップの12Vの基準電源を作っているのでしょう。
 バリキャップは、電圧で容量が変化するので、この電圧がぶれてはなんにもならないからです。

 ②周波数をHF(1.5MHz〜50MHz)〜144MHzまで振るのですが、ひとつの回路では幅広く発振できません。そこでロータリースイッチでバリキャップとコンデンサ、コイルの定数を変えて、各バンド帯の発信をするようにしています。

 ③周波数の可変は、DCコンバータから出ている基準の12Vに対し、4連ボリュームでそれぞれのバンドに対し、抵抗値を可変させることで、バリキャップに与える電圧を変化させ、バリキャップの容量を変化させるのだと思います。

 ④FETを用いた発振回路
 後は、その後段のFETと組み合わせ、上記の簡単な回路と同じ様に発振させるというものだと思います。


これで、発振回路の状態が理解出来ました、多分・・・・。


 3.アナライザの発振回路が動作品と同じ様に出力されているか?を確認する。
 さて、発振回路が理解出来ましたので、FETの出力を見て、きちんと発振しているかどうかを確認します。


 1)動作品の出力
 下記のオシロ画面が動作品の出力です。

 2)故障品の出力
 これに対し、故障品の出力はこれです。
 あれ?何だか結構周波数が高いですね。これは問題です。


 3)よくよく考えたら・・・・
  よくよく考えたら周波数は可変出来るのでした。

 GNDが安定していませんが、ボリュームを回すと、それに応じてきちんと発振周波数が変化している事が確認できました。
従って、発信機はなんとか正常に動いている様です。

 

 

 

今回は、お友達のKamaさんとSakaさんからのアドバイスを頂いたことで、大きく前進する事が出来ました。大変ありがとうございました。

今後は、その後段を調べれば、出力の違いが判りますね。どんどんやる気が出てきたぞー!