おはようございます、Tomです。いや〜、最近冬場になって、朝起きが習慣づいて、今朝の起床も4時となっております。これは体に気を付けないといけませんね。今回のカラオケアンプの修理が一段落したら、休養を取りたいと思います。
さて、カラオケアンプの修理も、今回で4回目となりました。
昨日は、マイクNo.3の回路が見事に復活し、問題は、残す所下記の2つとなっています。
① 4系統のライン入力のうち3系統から音が出ない。
② 修理途中、スピーカーからでる音が急に歪み出した。
今日は、このうち①の問題の解決を実施したいと思います。
Tomの予測としては、このライン入力4系統は、信号が入ると自動的にその信号をONするというAUTO切り替えを使用しているので、これがうまく働いていないのでは?と思っています。但し、信号を入れて信号切り替わり表示のLEDを見る限りでは、きちんと切り替わっている様ですので、何かあるのでしょう?
1.リアのマイク入力基板を取り除く
ライン入力基板は、リアのマイク入力基板の下にあり、マイク入力基板が邪魔してアクセスできませんので、まず、コネクタにナンバーを振り、マイク入力基板を取り除きます。
これは、しばらく使いませんので、最終組立の時まで外しておきます。
見えてきました。これが、LINE入力、切り替え基板です。入力にはアッテネータがついていて、予め入力のレベルを決めておいて、信号が入ったら切り替わるのでしょう。
なんで、こんな回路が必要か?Tomは昔よく行った、カラオケBOXの使用状況を考えてみました。そう言えば、まず、部屋に入ると低い音でBGMが流れていたような?そして、カラオケが始まるとそれが、聞こえなくなり、カラオケの音声になるような気がしました。
また、火災などの非常時には、自動的に非常用放送が流れるのだと思います。
通常の家庭用オーディオなら、セレクターを使用しますが、業務用のカラオケアンプだとこの様な配慮が必要なのでしょうね。
2.LINE入力基板を取り外して洗浄
この基板の全体の仕組みを知らなければ、修理もままならないので、まずは基板を取り出し、回路を解析します。
1)LINE入力基板の取り出し
まずは、このLINE入力基板を取り出します。
3.入力部のICを調査
1)実際のパターンを解析
回路図が無いので、実際の基板のパターンを追いかけて信号の流れを解析します。
すると、入力コネクタから入った信号はアッテネータを通り、下記の写真のTC4052というICに入っています。この型番聞いたことがあります。恐らくマルチプレクサか何かだと思います。早速NETで調べる事に。
2)ICはマルチプレクサだった
NETで調べてみると、やはりTomの予想通り、4回路のマルチプレクサでした。
マルチプレクサと言うのは、アナログスイッチを外部のデジタル信号で切り替えるものです。電気的なセレクタとでも言いましょうか、とても便利なICです。
でも、この4系統(ステレオで8系統)の切り替えが出来るマルチプレクサがなぜか基板上に2個も載っています。
4系統の切り替えができるのだから、1個で済むはずですが・・・・まあとにかく調べてみましょう。
http://html.alldatasheet.jp/html-pdf/31653/TOSHIBA/TC4052/245/1/TC4052.html
4.信号の流れを実際に見てみる
それでは、実際に信号の流れをオシロで見て見たいと思います。
信号の入力は、面倒なので、普通の音楽信号を入れています。
1)TC4052の信号
入力4系統で、唯一音が出ているBGM入力に信号をいれて、プリアンプ基板までの信号を確認します。
入力⇒アッテネータ⇒4052の順で見てゆくと、4052の2ビットのコントロール端子は、LLとなっており、きちんと系統1の切り替えが出来て、入力している信号がきちんと出力に出ています。
5.別のコネクタは何?
信号のラインは確認しました。それでは基板中央にあるコネクタは何?
Tomは、これは、フロント部にあるコントローラか何かで、先ほどの4052の切り替えをしているのだと思いました。その信号線だと・・・・。
しかし、信号ラインを追いかけてゆくと、それは、フロントパネルのLEDにたどり着きました。つまりこれはLEDを光らせるための出力であって、コントロール入力ではなかったのです。では、どの様にして切り替えているのでしょうか?
6.奥にあるオペアンプのような物は?
4052の奥にある4個の8pinのICは何か?コンパレータか何かで、信号を検出しているでしょうか?
NETで調べてみました。このICは、JRC2072Dと言う物であり、信号レベル検出用ICの様です。コンパレータのようなものですね。
つまりこれで、4系統の入力信号を検出し、ビットを立てて、4052で切り替え、LEDも光らせるという具合です。
http://semicon.njr.co.jp/jpn/PDF/NJM2072_J.pdf
7.別の端子に入力を入れてみる。
ライン入力基板の全体の仕組みは理解しました。そこで、次は、残り3系統の信号の行方です。入力端子をBGMからLINE入力1に差し替えてみます。すると、LEDは、きちんとLINE1を示しますので、先ほどの信号検出ICはきちんと動作している様です。4052のコントロール信号変わっています。
ところが、4052の出力に信号が出てきません。
そこで、となりの4052(ここでは4052 No.2と呼びます)の出力を見ると、なんと信号はここから出ていました。
他のLINE2、LIN3にも切り替えてみましたが、すべて、こちらの4052で切り替えているようです。
8.4052 No.2の後の信号の流れ
それでは、4052 No.2の出力は何処に行ってしまっているのでしょうか?
実は、パターンを追いかけると、下記写真のコネクタに行って終わっています。
このコネクタは、リアパネルのKEY CONというコネクタなので、恐らく外部のキーボードコントローラがあり、そこで切り替えるのでしょう。
9.外部コントロール端子をショートする
4052で切り替えられた、LINE1,2,3は先ほどのコネクタを通じ外部のコントローラに行き、最後はそのとなりのコネクタに戻ってくる事が判りました。
そこで、このコネクタ同士をバイパスしてみました。
10.その先は?
バイパスしたコネクタの行き先は・・・・??
なんと、4052 No.1の2系統目の入力に入っており、出力を確認すると、きちんと信号が出ている事を確認しました。
11.実際の音の確認
配線を全て元に戻し、スピーカーも繋いで、LINE入力4系統の音楽信号を次々差し替えて音を確認しました。すると、これまで1系統目のBGMしか聞こえませんでしたが、2系統〜4系統(LINE1〜3)もきちんと出力する事が出来ました。
これで、2つ目の問題もクリアしました。
後は、途中から発生した歪みというかビビリ音です。
お楽しみに・・・・・。