YAESU ハンディトランシーバーVXー5の充電器の修理

こんばんは、Tomです。今日の天気は花曇りといった天気ですね。花曇りと言っても、もうすでに桜(ソメイヨシノ)は既に散っていますが…。

Tomは今日も神奈川出張です。そんな訳で新幹線の中でブログを書いています。
さて、仙台のジャズピアニストの稲垣さんから依頼されたTEACのマルチトラックのオープンリールデッキの修理の記事も昨日で終了しました。
今日の話題は、無線や山歩きなどでお世話になっているお友達のNanさんから先週末修理を依頼され、日曜日に修理したYAESUのハンディトランシーバーVXー5の修理の話です。

1. 故障の症状と切り分け

Nanさんからの話では、トランシーバーの充電が出来なくなったとの事でした。Tomも同型のトランシーバーを保有していましたので、Tomの充電器で充電してみると、キチンと充電されました。と言うことは、この充電器が壊れていますね。

2.電圧の確認

充電器と言っても、単なる12VのACアダプタです。早速出力電圧を測って見ましょう。

テスターで電圧を測ってみると、12Vの筈が8Vしか出ていません。若しかして、平滑コンデンサが容量抜けを起こしているのか?

テスターだけでは、状況を把握できないので、今度はオシロで波形を確認してみることにしました。

すると、出力波形は、単なる全波整流波形で平滑コンデンサが全然役目を果たしていないでは有りませんか。

これは、予想通り電解コンデンサの容量抜けが原因の様です。

3.ACアダプタをバラす
原因は判りました。
でも、ここからが一苦労です。何故なら熱溶着でケーシングされているACアダプタをバラさなくてはなりません。どうやってバラそうか?グラインダーのダイヤモンドカッターの刃も購入してきましたが、刃の幅がちょっと広いし、間違って中の部品も切ってしまいそうです。Tomはあれこれ考えました。
最後のたどり着いたのは、アクリルカッターです。これなら刃の幅も狭いし、少しづつ削れるので中の部品を傷めることもありません。

そして、角の処理は普通のカッターでないと難しいです。ここが厄介でした。

でも、10分ほどシコシコと削っていたら、なんとか無事にACアダプタを開封する事が出来ました。

ここまで来れば、こっちの物です。

4. 電解コンデンサの容量測定

基板の反対側のカバーを見ると、やはり電解コンデンサの電解液が漏れていた様ですね。

それでは、早速電解コンデンサを取り外して、容量を確認してみましょう。

容量を確認した所、本来は2200μFの筈が殆ど0μFでした。
これじゃあね、当たり前ですね。

5. 新しい電解コンデンサを装着する。

さあ今度は新しい電解コンデンサを取り付けます。部品箱を探して見ると、2200μFの電解コンデンサを見つけました。
しかし、耐電圧は16Vです。ちょっとギリギリですね。
そこで安全を考えて、1000μF50V品を2個使用し、2000μF50Vのコンデンサにする事にしました。

まず、1個目は、今まで付いていた所にはんだ付けします。

続いて、もう一個のコンデンサに、リードを付け、足長にします。

このコンデンサを、先ほど半田付けした足の根元にパラレルに半田付けすれば、OK!

6. 動作確認

それでは、仕上げる前に動作の確認を行います。
《Before》

《After》

これで大丈夫でしょう!

7. ケーシング

動作が確認できたのでケーシングを行います。

まずは、ホットメルトでコンデンサを固定します。

そして、ケーシングです。これもホットメルトで行います。

はみ出たホットメルトはカッターで切り取ります。

8.修理完了
約30分程で修理は完了しました。

これで後20年は使用できるでしょう!
Nanさん大切にお使いください。

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《あとがき》

今回の修理で一番大変だったのが、熱溶着されているケースをバラす事でした。
アンプの製作でも、スイッチの窓やACインレットなどで、丸型でない形のプラスチック加工が大変なんです。
何か良いものはないか?探してみました。
すると、超音波カッターという物があり、これを使用するとプラスチックがバターの様に削れるそうです。
これは欲しいですね。

http://www.1999.co.jp/erumaer/m953.html

先日アンプを売ったお金で買ってしまいたいくらいです。
世の中には色々と便利なものが有りますね。