LINNのプリアンプKAIRNの修理 シーズン5−その12−

おはようございます、Tomです。今週は毎日天気が良くていいですね。まさに秋晴れの連続です。メキシコでは、M7.1の直下型の地震が発生し、多くの被害が出たようです。お見舞い申し上げます。Tomも若い頃出張でメキシコに行きましたが、メキシコシティーは、なんと標高2000mの高地にあるんです。もしかして火山が噴火するかもしれません。

さて、今日もいつものようにLINNのKAIRNの修理の記事です。この手の記事は、毎日楽しくご覧いただく方と、マニアックすぎてまた修理の記事か〜。とガッカリされる方がいらっしゃるかと思います。でも、そろそろ大詰めですので、もう少し我慢してご覧くださいね。Tomも時間が限られていますので・・・・・。

1.今回のシナリオ

さて、まずは今回のシナリオです。前回では信号線を追いかけ、DAコンバータに原因が有りそうでした。そこで、今回は下記シナリオ4である、DAコンバータのアドレス、データ、/CS、/WRの信号線の確認を行います。

☑1.電源をチェックし、正しく電源が来ているかを確認する。
☑2.以前同じような故障があったので、その故障でないかを確認する。
☑3.メイン基板に音声信号を入れ、入力から出力までの経路の音声信号を確認する

4.DAコンバータ付近の場合、DAコンバータのアドレス、データ、CS、WRなどの信号を確認する。
5.ここまで確認してもNGの場合は、基板を取り出して、観察する。

2.デジタル信号の観察の準備

さて、デジタル信号を確認するためには、通常オシロスコープではなく、ロジックアナライザを使用します。Tomは以前6000円くらいで、USB接続のロジアナを購入しましたが、中国製でかなり特殊なロジアナなので、うまく使いこなせませんでした。

そこで、今回はオシロスコープで信号を確認します。すべての信号は、/CSをトリガーにして、そのタイミングの関係を見ますので、/CSの信号線をはんだ付けします。通常はICクリップを使用しますが、ここの場所はタンタルコンデンサが邪魔してクリップが使えないので致し方なく、はんだ付けです。

これがDAコンバータのピンアサインです。

そして、これがタイミングチャートです。

3.デジタル信号の確認

1)アドレス信号の確認
ますは、アドレス信号(A0〜A2の3本)がきちんと出ているかを確認します。ピンアサインはP6〜P8です。写真は1枚のみで省略させていただきます。

アドレスは、きちんと入力されています。

2)データ信号の確認
続いて、肝心のデータ信号(DB0〜DB3の4本)を確認します。ピンアサインは、P1〜P4です。
これも、1枚だけ載せますね。

これも大丈夫です。

3)UPD信号
UPD信号です。これはP5となります。この信号は、/CSの反転信号です。

4)/WR
そして、肝心のライト信号(/WR)です。これでデータをラッチします。

見えにくいので時間軸を拡大しますね。ちゃんと出ています。

5)LCR
そして最後はCLR信号です。これは、毎回ではなく、パワーオンリセットに使用しているようです。かなりゆっくりリセットが掛かります。

全てOKです。

4.音声出力の再確認
結果、すべての入力デジタル信号は、タイミングも含めてOKである事が判りました。
これで音が出ないなら、DAコンバータを交換するしかないという感じです。
もしかして、音は出るのでは?

そこで、再度音声信号を入力し、出力を確認する事にしました。

1)DAコンバータの音声入力信号
まずは、DAコンバータの音声入力信号の確認。

2)OPアンプの最後の抵抗出力部の信号
DAコンバータ⇔OPアンプ間の信号は見れないので、OPアンプの後段の最終出力信号を確認します。

するとどうでしょう!音声信号が出てきました!やったー!
でも、ちょっと信号が小さい。

ボリュームを50付近にすると、ボリュームに応じて出力も変化しました。DAコンバータは確実に動作しているようですね。OKです。

5.音出し
実際にBOSEのレシーバーに接続して、音声を確認します。

綺麗な音楽が流れてきました。
これで、OKです。

<振り返り>

しかし、直ったのいいけど、Tomはどうも腑に落ちません。
なぜ急に音が出るようになったのか?それが不明です。

確かにデジタル信号を確認する前は、音声は出ませんでした。何度も実施しているので、それは確かです。

差は何か・・・・・?
デジタルの信号を確認する前と後では、デジタル信号のトリガーを取り出すために/CSの足と、WRの足に直接ハーネスをはんだ付けしただけです。
なので、考えられるのが、/CSか/WRの足の接触不良でしょうね。
まあ、これらはどちらもデータをセットするためには重要な信号です。
/CSは最初に確認していますので、おそらく/WRの信号だと思います。
ICクリップがセットできないために実施した事が、DAコンバータを目覚めさせたのでしょうね。なんという偶然。もし、ICクリップを使用していたら、原因が変わらなかったかも??
それでも直ったのはうれしいです。結果オーライもたまにはいいでしょう!

もし、不安定さがあるのではあれば問題がありますので、この状態で、一晩エージングしましょう。