LINN CLASSIK MUSICの修理 シーズンⅧーその4ー

こんばんは、Tomです。今日の天気は雨が降ったりやんだりで、最高気温は22℃と肌寒い日でした。なんだかお彼岸が過ぎたとたん、一気に秋になってしまいましたね。だんだん四季ではなく二季になりそうです。まるで20年前に上海に駐在していた頃を思い出します。
さて、今日の記事は、昨日の続きで『LINN CLASSIK MUSICの修理 シーズンⅧ』で、今回はその4となります。前回は+15V電源を作る三端子レギュレータを手持ちの部品交換したとたん、スピンドルモーターが回らなくなりました。そこで、今回はCDユニットのモータードライブ周りを追いかけます。

1.CDユニットのドライブ基板をばらす
それではまずCDユニットを駆動するドライブ基板をばらします。

2.スピンドルモーターの経路を断つ
スピンドルモーターが回らなくなったということは、ここに何らかの負荷がかかっていて、大電流が流れている可能性がありますので、まずはスピンドルモーターのパターンに切り込みを入れて、電流を遮断してみます。

3.動作確認
それでは、スピンドルモーターを断ち切った状態で電源を入れて、電源が落ち込むかどうかを確認します。
今回は、オシロのスキャン時間を遅くして、CD動作を見ながらオシロの信号を確認します。

すると、スピンドルではなく、ピックアップユニットを動かすスペースモーターの動作に同期して電源が落ち込むことが確認できました。

4.スペースモーターの負荷が高くなる場所
スペースモータの負荷が高くなるのは、起動時ホームポジションに戻った時に、端っこまで行って、リーフスイッチを押下しているときです。もし、リーフスイッチの接触が悪いのであれば、押しっぱなしになって負荷が高くなり、電流が多く流れるはずです。
そこで、ホームポジションのリーフスイッチの接点の確認を行いました。

1)スピンドルモーターのパターンの修復
まずは、スピンドルモーターの基板のパターンを修復します。

2)リーフスイッチの確認
ピックアップユニットの駆動ギアを手で回しながら、キャリッジをホームポジションのリーフスイッチを押すところまで動かします。

この時点の、リーフスイッチの導通を確認します。
スイッチ直下では問題なしです。

3)リーフスイッチの信号経路をたどる
リーフスイッチの信号が途中で途絶えている可能性もありますので、経路をたどります。

このICにきちんと入っていることを確認しました。
ということは、きちんとリーフスイッチはON/OFFしていることになります。

5.+15Vの電流値を図る
三端子レギュレータの定格の電流値は1.5Aも流せますが、電圧が落ち込むということは、その定格を超えていると思われます。そこで、負荷がかかった時の三端子レギュレータの出力の電流値を測定します。

1)三端子レギュレータの足を切断し、そこに電流計を入れる
三端子レギュレータの出力の足を切断します。

そして、出力と基板にハーネスをはんだ付けし、テスターを挟みます。

2)電流値の測定
電源をONして、スペースモーターがホームポジションに戻るときの電流を図ります。
結果、電流値は0.1Aでした。
定格1.5Aから考えると十分に余裕があります。

6.ブリッジの確認
パワーアンプが焼けたとき、大元の30Vを作っているブリッジが壊れている可能性もありますので、それも確認します。

ブリッジの4つのダイオードはすべてOKでした。

7.メイン電源のリレーの接点の確認
メイン電源は、リレーでONさせます。もしこのリレーに接点不良があった場合、電圧降下で電圧が下がる可能性があります。
そこで、リレーをばらして、接点を洗浄します。

1)リレーの取り出し
リレーを取り出します。

2)リレーのばらし
リレーのカバーをバラします。

3)接点の洗浄
リレーの接点の洗浄を行います。
まずはエレクトロニックスプレーを接点に吹き掛けます。

次に、エレクトロニックスプレーをしみこませた名刺を接点に差し込み、軽く研磨します。

4)接点の抵抗値測定
それでは接点の抵抗値を図ります。

問題なしです。

ここまでくると、もう疑うのは三端子レギュレータしかありません。

8.三端子レギュレータを交換する
以前手持ちのLM317Tを取り付けるときに、放熱板が薄いので気になっていました。
そこで別のきちんとしたLM317Tを購入していたので、それを取り付けてみます。

この部品の放熱FINは厚いので熱容量はありますね。

9.動作確認
それでは動作を確認します。
電源ON!

やったー、動きました~。

今回は、もともと動いていたのですが、下記の過ちの繰り返しで遠い道のりになってしまいました。
1)誤ってプローブを滑らせ、パワーアンプの足をショート。パワーアンプを破壊
2)新しいパワーアンプと取り付けたが、足が長く電源の足がシャーシに接触して炎上。パワーアンプ破壊。三端子にもダメージ
3)三端子がダメージを受けたので手持ちの三端子レギュレータセットのLM317Tを装着。+15Vがドロップ  
4)新しい三端子レギュレータを装着し、無事復帰。

こんな感じでした。自分のCLASSIKだから良いものの、修理依頼品だったら心臓バクバクですね。
まあ、たまにはこんなこともあるものです。
次回は、組付け動作確認です。
お楽しみに!