LINN CLASSIK MUSICの修理 シーズンⅩ ーその2ー

こんばんは、Tomです。今朝は寒かったです。最低気温は1℃なのになんだか底冷えがする朝でした。でも日中は晴れて最高気温は8℃まで上がりました。確か、本日から日の出の時間が早くなるそうです。1月も中旬ごろから少しずつ春を感じるようになりますね。
さて、今日の話題は、昨日に引き続き『LINN CLASSIK MUSICの修理 シーズンⅩ』です。今回はその2で、メイン基板を本体から取り出し、不具合箇所を修理します。さて、修理の結果、復活するのでしょうか?

1.メイン基板の取り出し
それではさっそくメイン基板を本体から取り出します。Tomはこの作業を今年何回実施したのでしょう?今年はLINNのCLASSIKの修理依頼がとても多かったので、かなりやりましたね。

このタイプのCLASSIKは、トロイダルトランスを少し外さないと基板が取り出せません。

どうしてこんな設計にしたのか理解不能です。

取り出した基板のICには、シリコングリスがついているので、不要に触るとあちこちべたべたになるのと、三端子レギュレータを守るために、裏側にマスキングテープを貼ります。

2.いつもの故障個所の導通チェック
いつも電解コンデンサの液漏れにより、電解液が基板に流れ、パターンが解けだめになる部分があります。
まずは、その部分を含めたパターンの導通チェックを行います。

今回は、まだ腐食でパターンが切れていないので、大丈夫の様です。

3.電解コンデンサの取り外し
それでは、いつもの様に電解液が流れてしまう、電解コンデンサを取り出します。ついでにパターンを確認するために、フィルターも取り外します。

1)4個の電解コンデンサの除去

2)2個のフィルターの除去

パターンを見ると、電解液は流れていた跡はありますが、まだ腐食で溶けてはいないようですので、大丈夫そうですね。

4.ショットキーバリアダイオード(チップ)の再はんだ
パターンの腐食は問題なしという事は、そのほかに考えられることは、電解液がすぐ隣のショットキーバリアダイオードに流れ込み、半田を劣化させ、ショットキーバリアダイオード(チップ)と、パターンの面の接触抵抗が大きくなることです。これにより、メイン電源をONさせるための±5Vの電源がだめになり、メイン電源が入らなくなるという不具合が発生します。
そこで、ショットキーバリアダイオードと基板のパターンの間のはんだを取り除き、再はんだを行います。

再はんだ作業をしてやはり感じたのは、チップ部品のはんだが、電解液で変質し、なかなかはんだが載らないという事が多々ありました。
おそらく、ここが故障の原因でしょうね。

5.取り出した電解コンデンサの容量を確認する
ここの電解コンデンサは、前のバージョンは85℃品でしたので、ショットキーバリアダイオードなどのスイッチング電源の熱で、電解液が流れ出し、基板のパターンがあちこち解けるという大きな被害が続出していましたが、その後のバージョンでは、この部分の電解コンデンサは105℃品を使用しているので、電解液が流れ出る率もかなり少なくなっています。でも、やはり劣化して電解液は流れているようです。ですので、容量と内部抵抗を確認します。

4つとも誤差範囲内ですね。

6.暫定の新しい電解コンデンサを取り付ける
Tomの手持ちの電解コンデンサ(100μF50V)は、85℃品ですので、このまま取り付けるとまた同じような不具合を引き起こします。
そこで、最終的には105℃品を取り付けるのですが、今回は動作確認の為だけに、暫定でTomの手持ちの100μF50V85℃品を使用します。

7.暫定対策を行ったメイン基板の動作を確認する
それでは、暫定対策を行ったメイン基板を、最低限のビスで仮組付けし、動作を確認します。

1)仮組付け

2)動作確認
電源ON!

メイン電源がきちんと立ち上がりました。

CD ON!

CDもきちんと動作しました。
何度行っても、安定的にメイン電源が立ち上がるようになりました。
成功です!

8.12時間連続運転
それでは、この状態から12時間連続運転を行います。途中何度も電源をOFF/ONして、メイン電源の立ち上がりが安定して立ち上がるかを確認します。

うまく連続運転が終了するといいですね。
今回のメイン電源が不安定であるという不具合の電源は、スイッチング電源の出口の電解コンデンサがスイッチング電源のショットキーバリアダイオードの熱により電解液漏れを発生させ、その電解液がショットキーバリアダイオードのはんだ面と、メイン基板のはんだ面が変質し、接触不良となることにより、メイン電源を駆動するリレーが働かくなるという不具合でした。
次回は、基板上の電解コンデンサをすべて交換します。
お楽しみに!