LINNプリアンプ KAIRNの修理 −FINAL−

こんばんは、Tomです。今日は、朝は雨あがりの天気ですが、午後は晴れて天気が良くなりました。今日は、Tomの兄弟家族と11時から秋の風物詩である『芋煮会』を行いました。

さて、芋煮会の様子は、明日レポートするとして、今日は、一番ホットな話題であるLINNのプリアンプKAIRNが昨夜復活した事をレポートしたいと思います。

昨日の記事では、抵抗をプルアップしているトランジスタが原因かと思いましたが、それ以外に原因があることが分かりました。午前中にそれが分かったのですが、午後はその後、どの様に攻めたらよいか、分からなくなってしまい、悶々とした状態でした。でも、夜に前に進む事が出来ました。今日の記事は、ちょっと長いですが、FINALですので、我慢して見てください。

1.トランジスタの周りの電圧を確認する。
トランジスタを交換しても状況が回復しなかったので、その周りの状況を確認することにしました。

1)コレクタの電圧の確認
まずは、コレクタの電圧をリファレンスとNG基板の比較をします。

①リファレンス


(5V/div)

②NG基板
(5V/div)

結果どちらも+15Vです。

2)その手前ダイオードの電圧
その手前も見ておきましょう。

①リファレンス

(5V/div)

②NG基板(10V/div)

リファレンスは18Vであったのに、NG基板は24Vでした。でもよく考えてみるとTomのリファレンス機の電源はスイッチング電源ですので、その後何らかの変更があったのでしょう!トランジスタに同じ15Vが掛かっているので、問題ないですね。

2.トランジスが熱くなっている

電圧を確認する時間は短い時間ですが、それでも、交換したトランジスタは触れないほど熱くなっていました。
Tomは考えました。もしかすると出力がGNDとショートして大きな電流が流れているんじゃない?だから、出力電圧もGNDになっているし、トランジスタも熱くなっているし、クロックの信号もGNDに引っ張られている感じです。これですべての状況のつじつまが合います。

トランジスタのエミッターとGND間の導通を調べたら、やっぱりショートしていました。
ビンゴです!

3.GNDとショートしている箇所を探す。

しかしながら、プルアップ抵抗とトランジスタ間の回路はとてもシンプルでとてもショートしているとは思えません。

しばらく基板と眺めていると、プルアップの先のICにも電源が入っていることを発見そのICはPCF8574PというフィリップスのICです。その電源ラインに繋がっています。

しばらく、ICの回りを観察していると、足の間に異物らしきものを発見!


この2本の足はショートしている事が分かりました。
2番ピンは、電源に繋がっていますし、3番ピンはGNDにジャンパーされています。なのでここでショートすれば、電源が落ちるということです。

リファレンスでは、ショートしていません。

この異物と思われるものをマイクロスコープ観察しました。
でも、良くわかりません。

ピンセットで2番3番ピンの間の異物らしきものを取り除こうとしとしましたが、なんだか取れた感じもしないし、相変わらずショートのままです。

4.ICを取り外しショートを確認する。

仕方がないので、ICを取り外します。
この基板はスルーホールがしっかりしているので、ICを取り出すのは大変です。

しかし、何とか取り出しに成功!

そして、ICの2番、3番ピンのショートを確認。
こちらはOKです。

続いて基板単体の2番、3番ピンのショートを確認すると、まだショート状態が続いています。

5.原因は電解コンデンサのショートだった。

Tomは考えました。最近行ったことは、電解コンデンサの交換。そして、電源がショートしているとなると、2番、3番ピンのショートではなく、交換した時のコンデンサのショートか?
基板のはんだ面はきれいですが、部品面でショートしている可能性もあります。

そこで電解コンデンサーを取り除いてみます。

そして、電源-GND間のショート状態を確認すると、ショート状態から解放されていました。
やったー!成功です!
2番、3番ピンの基板の状態を見たところ、これは異物ではなく、パターンをカットした跡でした。そして、3番ピンはGNDにジャンパーされていました。

6.ICのはんだ付けと動作確認
原因が分かったので、新しいコンデンサのはんだ付けを行い、ICももとに戻しました。

そして、動作確認を行う前に、すべての電解コンデンサのショートを確認します。

仮組して、動作を確認します。ちょっと緊張。でも今度こそ上手く行く確信があります。

スイッチON!

今度は、きちんと動作しました。

Clockの信号を確認すると、こちらも正常に動作しています。

7.音声の確認

仮組状態で、音声を確認すればOKです。

結果、音声も大丈夫の様です。

8.組み立て

動作も確認出来ましたので、いよいよ本組です。

1)フロントパネルの組み立て

2)バックアップ電池の取り付け
バックアップ電池(ニッケル水素)の取り付けです。
このやり方なら、修理が出来ない人でも、簡単にバック電池を交換することが出来ます。

3)メインボードの組み付け

4)リアパネルの取り付け

9.清掃
組み付けがほぼ終了したら、最後の組み付けをしながら、マジックリンと歯ブラシで綺麗に仕上げます。

1)リアパネル

リアパネルは以前洗浄しているので、あまり汚れていません。そこでウエスにマジックリンを染み込ませ、ふき取るだけで綺麗になります。

2)TOPカバーの清掃

TOPカバーは直接埃を受けるし、エンボスがあり、埃留まりやすいので、マジックリンと歯ブラシで清掃します。

これで、以前のようにピカピカになりました。

10.最後の動作確認
最後の動作を確認します。

1)音声の確認
本組してから最後にもう一度音声の確認を行います。

2)バックアップ電池の動作確認

そして、バックアップ電池がきちんと動作しているかを確認します。
一度電源を落とし、数分待ってから、もう一度電源をONします。
『Error2 don't panic』というメッセージが出ないこと、そしてセレクトとボリュームの値がスイッチをOFFする前の値を再現すること出来ればOKです。

結果、再現できました。

これで修理は完了です。

11.あとがき
今回は、バックアップ電池の交換と電解コンデンサの交換という簡単なメンテナンスでしたが、一か所電解コンデンサの半田面でショートがあり、大パニックになりました。これはTomの確認の悪さですね。大いに反省です。
今回も大きな壁にぶち当たりましたが、最後まで諦めないという気持ちが成功に結び付きました。

それから、今回の修理で分かったことは、KAIRNのメインボードに付いているフィリップスのLEDドライバー(SAA1064)は、LEDドライバーとして使用しているのではなく、入力信号の切り替えのチップセレクター信号に使用していることが分かりました。
前回の修理でも、DAコンバータを、なんとデジタルボリューム替わりに使用していることを発見しました。
このKAIRNは20年以上前のプリアンプで44万円もするとても高価なプリアンプです。
でも、音はその価格を裏切らないのです。
でも、ICの使い方はかなりマニアックであることが分かりました。

今回修理したKAIRNの所有者の方は、最近息子さんがオーディオに興味を持ち始めたというので、今後のことも考えてのメンテナンス依頼でした。
でも、LINNではもう修理の受け付けはしていません。勿体ないですね。
このアンプは今回のメンテナンスで、あと20年以上は動くと思います。
どうぞKAIRNを末永くご使用ください。