LINNのプリアンプKAIRNの修理 シーズン5−その15:FINAL−

おはようございます、Tomです。最近Tomのブログアップのタイミングは、朝に定着してきましたね。そして、今日は朝から清々しい秋晴れです。でも、ニュースではメキシコでまたM6.1の地震が発生したとの事。お見舞い申し上げます。

さて、9月初旬から始まったLINNのプリアンプKAIRNの修理も、今回でFINALを迎えました。最後のメンテナンスと仕上げをして終了です。

1.105℃品の電解コンデンサをGET

昨日の記事ではスイッチング電源の電解コンデンサを交換しましたが、一部105℃品の在庫がなく、85℃品を取り付けました。
その後、昨日お友達のkamadaさんに電話し在庫を確認したら、なんと47μF50Vと100μF50Vなら在庫ありという事でした。
また、kamadaさんの情報だと、kamadaさんのKAIRNは、現在修理している電源の前のバージョンで、使用している電解コンデンサの耐熱が85℃品の為、熱で電解コンデンサがやられたとの事でしたので、やはり105℃品でなければ危ないようです。
そこで昨日の午前中、お墓参りの後にkamadaさんちに伺い、コンデンサを譲ってもらって来ました。それがこのコンデンサです。

2.33μFの電解コンデンサを作る

これで、4つの電解コンデンサのうち、3つまでは105℃品が揃いました。
でも一番熱でやられそうな場所にある33μFが85℃品なので、これが問題です。最初についていたコンデンサに戻してもいいのですが、なんだか中途半端。ここはフレッシュなものと交換したいですね。

そこで、もう一度Tomが保有している105℃品の電解コンデンサの在庫を確認しました。

その結果、なんと22μFと10μFは在庫があるではないですか?これで33μFを作りましょう!
1μF足りないけど、全然問題ありません。

パラにしてはんだ付けすればOKです。そして、実際に計測してみるとなんと33μFです。誤差で生じた偶然の値ですね。ラッキー!

これで、交換対象である4つの電解コンデンサは、105℃品が揃いました。ちなみに220μFはTomが保有していたので、すでに交換済みです。

3.コンデンサを105℃品に交換

1)一枚目の基板のコンデンサの交換(33μF、47μF)

それでは、交換を行います。まずは33μFから。

新しいコンデンサを交換した後、耐熱性を高くするために、熱収縮チューブを被せることにしました。これで少しでも熱の影響が避けられますね。

その後、47μFも交換。

これで一枚目の基板はOKです。

2)2枚目の基板のコンデンサ交換(100μF)
続いて、2枚目の電源基板の電解コンデンサを交換します。対象は、100μFです。

100μFも熱源に近いので、熱収縮チューブを被せました。

4.電源を仮組して動作確認
コンデンサの交換が終了しましたので、仮組して動作の確認を行います。

1)ハーネスの断線チェック
仮組をする前に、基板に接続されているハーネスの断線を確認します。以前の修理の時、±15の電源が0V方向に電圧がシフトするという故障がありました。いろいろと原因を探ったら、なんとGNDのカシメの不具合で、GND(中点)が浮いていたという故障がありましたので、このハーネスチェックは欠かせません。

結果、大丈夫のようです。

2)仮組
仕上がった基板を仮組します。

そして、この状態で電源を本体にセットをして電源の動作確認を行います。
仮組状態で確認するのは、すべて組み立ててNGだった場合、またバラさなければならなくなるので、手戻り防止です。

電圧確認結果

①+5V三端子レギュレータの入力(5V/div)

②+15V三端子レギュレータの入力(10/div)

③-15V三端子レギュレータの入力(5V/div)

OKです。

5.組み付けと動作確認
動作を確認できましたので、スイッチング電源を組み上げて、本体にセットします。

1)ハーネスのゴムブッシュの固定(これが一番大変!)

2)タッピングビスで固定

3)仮セットし電圧確認

4)本体へ固定

これで、電源は終了です。

5)DAコンバータのハーネスの取り外し
そして、DAコンバータの確認を行うために取り付けたハーネスを取り外します。

6)仮組状態の状態で本体動作の確認を行います。

ちゃんと音声が確認できました。これで仮組状態での動作が確認OKです。

6.仕上げ

次は仕上げに取りかかります。

1)フロントパネルの仕上げ

2)リアパネルの仕上げ

端子も綺麗に

3)TOPカバーの仕上げ

4)ボトムカバーの仕上げ

5)最終組み付け

6)本システムに接続して、最終音声チェック
最後にTomのメインシステムのKAIRNと入れ替え、音声の動作確認行います。

大丈夫です。

7.完成!

これで、完成しました。

1)フロント部から

フロント部から見た外観。とても綺麗です。

2)リア部

リアパネルも綺麗です。

入出力端子もピッカピカです。

これなら、ほぼ新品同様です。とても30年前の代物とは思えませんね。

8.梱包
本体が仕上がりましたので、リモコンと電源ケーブルを仕上げ、梱包します。

1)リモコンの仕上げ
折角本体が新品の様に綺麗になりましたので、リモコンも仕上げます。

2)電源ケーブル
ついでに、電源ケーブルもね。

3)包装
そして、それぞれをプチプチで包装。

送られてきた箱に入れて、昨日の夕方発送しました。今日届くでしょう!

<今回のまとめ>

これで、LINNのプリアンプKAIRNの修理 シーズン5は終了です。今回もやり切りましたので、達成感があります。

今回の修理は、いつものコントロール基板のバックアップ電池の腐食なので、割と早めに終了するかと思われましたが、意外に時間がかかりました。それは、KAIRNのパネル部の腐食がものすごくGNDパターンがあちこち切れていたため、CPUのクロックの発信や、CPU周辺のロジックICも電源が不安定で動作しないという事が原因でした。
毎度新たな発見がありますね。これでまたKAIRNの修理のナレッジが蓄積されました。

いつも言っていますが、LINNのKAIRNというプリアンプは、とても良いアンプです。今回は修理に加え、電源の電解コンデンサもフレッシュなものに交換したので、今後20年間は間違いなく使用出来るでしょう!
末永く大切にお使いください。