クリスキットの基板を使ったパワーアンプの製作  ―その4―

おはようございます、Tomです。先週の週末は忙しかったせいか、今週は、まだ水曜日だと言うのに、疲れ果てています。でも、ここまで続いている連載を止めるわけにはいきませんので、頑張って早起き、そして記事をアップします。そのうち、『記事アップ』すんじゃなくて、『ギブアップ』になるんじゃないでしょうか?(笑)

さて、本日の記事は、ドライバ基板の再生です。恐らく生きているというコメントで購入していますので、恐らくそのままでも大丈夫だと思いますが、昨年末にすでに交換部品を購入しておりましたので、今は手に入らないトランジスタダイオードなどの半導体以外は、全て交換します。

今回は、クリスキットのドライバ基板の再生ということもあり、下記の様にキチンとした手順でドライバPCBを再生します。

 1.部品の取り外し
 2.古い半田の吸い取り
 3.端子のヤスリがけ
 4.基板の洗浄
 5.新しい部品の取り付け
 6. フラックスの洗浄

これだけやれば、もう新たにP-35Ⅱを組み立てているのとほぼ同じ状態になると思われます。


1.旧部品の取り外し

 まずは、基板上の全ての部品を取り外します。ここで使用するのは、トランジスタダイオード1個だけです。

 1)現状確認

  ①半田面
   部品を取る前の半田面です。かなり半田が古くなっています。これでは、いつか接点不良となるに違いありません。

  ②トランジスタ
   トランジスタの足も真っ黒です。

 2)古い部品の撤去
 古い部品をすべて取り除きました。ここで大事なのは、一気に2枚の基板に手を入れるのではなく、1枚リファレンスとして残しておく事です。万が一の時にオリジナルとの比較が可能となります。

2.古い半田の吸い取り 
 修理のコーナーではもう何度も書いていますが、70年代の基板の故障の原因は、電解コンデンサの容量抜け、そして次に多いのは半田が腐って接点不良を起こしているケースがほとんどで、半導体は殆どの場合大丈夫です。そこで、故障の原因となる、古い半田はすべて取り除きます。

3.基板の端子のヤスリがけ
 せっかくクリスキットの基板を再生するので、音がスムーズに抜けてくれるよう、端子もきれいに磨きます。

そして、端子を綺麗にしただけではNGで、端子から基板に接続されるハトメの部分にもヤスリがけをします。とにかく接点という接点は綺麗にしましょう。

4.基板の洗浄
 古い半田を吸い取った後は、基板をまずマジックリンで洗浄し、その後エレクトロニッククリーナーで洗浄すると、ピカピカになります。始めはエレクトロニッククリーナーだけで洗浄したのですが、マジックリンを使うとほぼ新品になることが分かりました。

ピカピカです。新品みたいでしょう?

5.新しい部品の取り付け
さて、いよいよ新しい部品の取り付けです。抵抗等は、既に部品表に貼り付けてあるので準備万端です。これは、CA-600の時の修理で習慣づけました。
抵抗は、すべて1/2Wです。ホントは1/4Wで良いのですが、ノイズが気になるという事でクリスキットでは、1/2Wの金属皮膜抵抗器の指定となっています。

 1)パーツの酸化膜除去
 半田付けする直前にパーツの足をカッターで磨きます。いくら新規パーツと言えどもお店や自宅で時間が経っているので、酸化膜はできています。今回のクリスキットには、神経を使います。

 
 2)トランジスタダイオードの酸化膜の除去
 トランジスタダイオードは使い回しをするのですが足は酸化して真っ黒です。これもヤスリとカッターの刃で綺麗に磨きます。

 3)トリマーは高級品に
 SA-910とCA-600の修理で判ったのは、ドライバ基板のオフセット調整とアイドル電流の調整が大変微妙な事でした。従って今回も1個250円もする(通常は20円くらい)、半固定抵抗を使用します。これだけで作業性と信頼性は格段に上がります。

 4)半田付け
  部品のハンダ付です。この基板は片面基板ですので、部品の足はきちんと曲げてできるだけ接触面積を多くしてハンダ付けします。懐かしいなあ〜。最近は殆どスルーホールなので、こんなことしてませんでした。
 

 5)端子のハトメのハンダ
  当然、部品だけでなく、先ほど磨いた端子のハトメ部分と基板のパターンにもしっかりとハンダ付けします。基板をキチンとしてもここが接点不良では、意味がありません。

6.完成!
 まずは、1枚出来上がりました。どうです?古い基板と比較すると雲泥の差でしょう?
 
 
  

 続いて、2枚目も同様の工程で再生します。これで、ドライブ基板の準備は完了です。


今回は、殆どの部品が新規部品なので、まるで新品のキットを購入したかの様な気分になり、とても楽しかったですね。