SONY TC-5350SDの修理 ーその8ー

こんばんは、Tomです。今日の天気は朝方小雨、午前中は曇り、そして午後は晴れになりました。最高気温は20℃でしたので比較的過ごしやすかったです。明日から週末までは天気が安定しているようです。
さて、今日の話は『SONY TC-5350SDの修理』です。5月の連休あたりから始めたこの修理ですが、音声のメイン基板が不安定でかなり迷宮入りに近い状態でした。5月の忙しさから解放され、先日から修理を再開しています。そして、本日ついにTC-5350SDが復活しました。かなり手こずりましたので、とても嬉しいです。なんか高い山を制覇した感じで、達成感ありです!
まだ少し不安定な所はありますが、ボーカルの声が小さくて聴こえないという摩訶不思議な不具合は解消しました。

1.TC-5350SDの残った不具合
TC-5350は、これまで『ブーン』という猛烈なノイズやヘッドからの音声が聴こえないなどの問題がありましたが、トランジスタの全交換によりノイズの問題と再生音問題は解消されています。
しかしながら、まだ不思議な問題が残っています。
一つ目は、再生音が小さく、センターのボーカルの音がよく聴こえず、エコーばかり聴こえます。まるで昔のボイスチェンジャーの様な音声なのです。

そして、2つ目は再生の後、STOPボタンを押下した時には問題なのですが、レバーを話すと、メーターが振りきれる問題です。
ヘッドフォーンには音声は聴こえないのですが、左右のメーターだけ壊れそうなくらい振り切れます。

もう一度STOPボタンを押下するとメーターは元に戻ります。

でも、ボタンから手を離すと、またメーターが振りきれます。

STOPボタンになにか関係がありそうですね。

2.フロントパネルをばらす
STOPボタンになにか電気的な仕掛けがあるのかどうかが、どうしても判らないので、ついにフロントパネルをばらして、カセットメカの様子を確認することにしました。
TC-4300SDに比べ、TC-5350SDのカセットメカは複雑なので、エレキ屋のTomとしてはメカをばらしたら元に戻せなくなりそうでちょっと敬遠していましたが、もう後がないので致し方なく。

1)フロントパネルのバラシ

2)カセットメカユニットのパネルのバラシ

これでカセットのメカユニットが良く見える様になりました。

3.回路図を良く見る
回路図を見ると、STOPボタンに関連する場所を見つけました。

1)TIMING SW
一つはTIMING SWです。
これはSTOPボタンの位置で音声がGNDに設置して聴こえないようになります。でもこのスイッチの接点がきちんとしていなけれは、不安定になります。

2)MUTE
そして、STOPボタンを押下した時にミュートされる回路です。

これは、STOPボタンを押下した時に、ソレノイド2を引いたタイミングでMUTEされるようです。

4.TIMING SWの接点不良を解消
これがTIMING SW基板です。

このスライドスイッチをON/OFFしてみるとなんだが非常にルーズで、スライドする時に接点が錆びた様なザラザラ感がありました。そこで、この接点不良を解消します。

お陰様でSTOPボタンを押下した後のメーター振り切れは解消しました。

5.ボーカルが小さい不具合
次はボーカルが小さいという不具合です。

1)確認実験
回路図を良く見ると、LINE出力の系統とヘッドフォン&メーター出力の系統が異なることに気づきました。

これまで、再生をヘッドフォンで聴いておりましたが、実はLINE出力なら問題ないのでは?という疑問がずーっと頭をよぎっておりました。そこで、カセットの再生をLINE出力で確認しました。

その結果、LINE出力は問題ない事が確認出来ました。

2)LINE入力で再確認
そして、これまではLINE入力は問題ないと思っていましたが、実は問題であることを確認するために、カセットデッキのLINE INにTomはメインシステムLINE出力を繋ぎ音声を確認しました。

その結果、LINEでは問題ないと記憶していたのですが、実際に再生音を聴いてみると、LINE出力では問題なく、ヘッドフォン出力だとボーカルの音声が聴こえない事がわかりました。

6.ヘッドフォンアンプ周りを確認する
1)ヘッドフォンアンプの入力コンデンサの交換
ヘッドフォンアンプの入力コンデンサを交換します。

問題なしです。

2)ヘッドフォンアンプの出力カップリングコンデンサを交換
今度はヘッドフォンアンプの出力部の電界コンデンサを交換時実験します。

ついでにヘッドフォーンアンプの出力トランス周りの半田も再度半田付けし直しました。
するとヘッドフォーンアンプの出力コンデンサを交換したのが良かったのか、トランスの再ハンダ良かったのか、今度はボーカルの音がきちんと出る事を確認しました。

やったー!
達成感ありですね。特にこのデッキは結構壁が高かったので、喜びはひとしおです。
あとは不安定箇所の修正と仕上げを行えば完了です!
お楽しみに!