LINNプリアンプ『KAIRN』の修理 ―その2―

おはようございます。Tomです。今日は、年に一度の人間ドックの日で、朝、5時に起床し、6時に家を出て、家内と二人で仙台の受診会場にやってきました。お天気は雨です。今週末は、日曜日まで雨のようですね。ちょっと勿体無い感じがします。

さて、今日は、人間ドックを受診しながら、このブログを書いています。

今日の記事は、昨日の続き、『KAIRN』の修理の記事です。
昨日の結果では、KAIRNのフロントパネルの右側に上から圧力をかけると、ノイズが出る事が分かりました。
そこで、今回は、実際にバラして原因を掴むところからです。

1.ケースをバラす。

先ずは、ケースをばらします。ケースは、下部のビス4本をとりはずし、ケースをスライドするだけで、非常に簡単です。

これだけで、アンプの中は全開状態になります。



2.症状を再確認する。

中身を開けた状態で、フロントパネルの右上を押下して、信号を確認してます。
すると、同じように、ノイズが出る事を確認しました。



3. フロントパネルをバラす

そこで、フロントパネル単体でも症状が出るかどうかを確認するために、フロントパネルを、本体シャーシーから取り除きます。

4.フロントパネル単体での症状を確認する。

フロントパネルを取り出した状態で、上から圧力をかけ信号を確認しました。すると、フロントパネル単体になると、これまで出ていたノイズが確認できません。これは、どういう事でしょうか?


5.フロントパネル周辺の場所を確認する。
パネルの右側周辺に圧力をかけ、ノイズが出るかどうかを確認しました。
すると、基板の電源部の部品が載っていない場所(おそらく、以前はトランスが載っていた部分)を押下するとノイズが発生することが分かりました。おそらく、基板が撓んだことで、なんらかの影響があるのだと思います。



そこで、実際に、どの部品に影響があるのか、その周辺の部品一つひとつを確認しました。すると、電源部のでかい電解コンデンサーで症状があらわれました。一応、静電容量の影響を省くため、指以外のもので押しても、同じようにノイズが発生する事が分かりました。このコンデンサーに圧力をかけた時が、これまで最も大きなノイズが出ているので、間違いなく、ここが震源地でしょう。



6. 基板を取り出す。

これまでの確認で、完全に基板の電解コンデンサーが
黒である事が分かりましたので、早速基板を取り出してみましょう。

1) スイッチング電源を取り外す

基板を取り外す場合に邪魔になる、スイッチング電源をとりはずします。

黒いコンデンサーが今回新しく交換したものです。


2) 基板のビスを取り外す

3) リアパネルのコネクタ固定ビスを外す

これで、無事基板を取り出す事ができました。

7. 電源部を再半田付け

基板を取り外したので、電源部の電解コンデンサーを中心に古い半田を吸い取り、再半田を実施します。電解コンデンサーの足にコテを充てた時、ブチブチという音がしましたので、半田が劣化して芋半田になっていたのだと思います。新品の半田を流し込んだので、今度は大丈夫でしょう!

8.ついでに電解コンデンサーを交換する。

せっかく基板を取り出したので、ついでに、基板上のバイパスコンデンサーとして使用されている、22μFの電解コンデンサーを交換します。Tomは、いつかLINNのKAIRNの電解コンデンサーを交換しようと思い、22μFの電解コンデンサーを大量に購入していました。

1) 22μFの電解コンデンサーを交換する。

以前、交換しようと思った時、スルーホールの径が非常に細く、古いコンデンサーを取り出す事を断念した経緯があるので、先ずは、1個交換して、問題が無ければ、約20個あるコンデンサーを交換します。
以前は、半田吸い取り器ですっかり半田を除去してコンデンサーを抜こうとして断念しましたが、今回は、最初に足に熱を加えながら、コンデンサーを
左右に振り部品を取り出す事で、簡単に取り出しそのご、半田吸い取りを行いました。
吸い取ってみると、スルーホールの径は充分大きい事が分かりました。
電解コンデンサーの足をカッターで磨き、半田付けを行います。

一個交換してみて問題なかったので、20個全て交換しました。

2) 220μFの電解コンデンサーも交換する。

22μFの電解コンデンサーは、全て交換しました。ついでに、220μFの電解コンデンサーも交換したいと思いましたが、220μFの在庫がどれだけあるか心配です。

確認したところ、50V品と35V品を合わせると、なんとか20個くらいになり、何とか全てを交換する事が出来ました。

これで、KAIRNの基板の電解コンデンサー(電源部のブロックコンデンサー以外)は全て交換しました。
なんだか、スッキリしましたね。これで、後20年は大丈夫でしょう!

3) 半田ショートの確認
最後に、交換した電解コンデンサーの足のショートの確認です。


8. ノイズの確認

基板を元に戻し、フロントパネルも取り付け、電解コンデンサー、基板、フロントパネルに圧力をかけてノイズでるかどうかを確認します。

結果、全て、OKです。

9. 動作確認
1) 最小構成での確認

メインシステムに接続する前に、ヘッドフォンアンプで確認します。
こちらも、OKです。

さあ、いよいよメインシステムに接続し、音の確認を行います。

結果、以前の様な、澄んだ音が戻りました。
今回の音の濁りの原因は、電源部の電解コンデンサーの半田接触不良でした。
KAIRNも20年以上経過していると思いますので、そろそろ劣化の時期ですね。
今回を機に、KAIRNのメンテナンスをもう少し実施したいと思います。
お楽しみに!