LINNプリアンプ KAIRNの修理 シーズン14 ーその4ー

こんばんは、Tomです。今日の天気は一日中晴れ、最高気温は16℃でとても清々しい日でした。でも、外の空気はスギ花粉が終了し、今度はヒノキです。ヒノキの花粉は、鼻にツーーーーーンと来る痛さがあるので大変ですね。
さて、今日は久しぶりに修理ライフの記事に戻ります。
今日の記事は先週末に実施した『LINNプリアンプ KAIRNの修理 シーズン14』で今回はーその3ーです。
前回は、スイッチングトランスを外し、ファストリカバリーダイオードを交換しました。
今回は、別のブリリアント電源が直ったので、それをリファレンスとして様々な箇所の電圧波形を比較します。

1.スイッチングトランスT1周りの波形
まずは、スイッチングトランスの周りの波形を確認します。記憶があいまいになるので、回路図に波形を貼って比較します。

1)正常品

2)修理品

スイッチングトランスの周りの波形を取り始めましたが、トランスに発振信号が入っていないので、3ヶ所ですぐに止めました。問題はこの回路の前になります。

2.スイッチングPWM ICの周辺をみる
今度はスイッチングPWM ICの周辺を見ます。

上の写真が正常品。下側が修理品です。スイッチングコントローラにも既に軌道の波形がありません。

3.回路図を編集する
ネットで落としたブリリアント電源の回路図がとても分かりにくいので、各回路をユニットにして、解りやすくなるように自分で編集しました。

1)回路図の編集その1

2)回路図の編集その2

これで、ブリリアント電源の回路図がかなりわかりやすくなりました。
どうやら1次側の最初の発振がうまくいっていない様です。

4.1次側の半導体の生死を確認する。
依頼された方にお聞きした所、1次側のトランジスタ電解コンデンサ、FET、ICは殆ど交換されたとお聞きしていたので、それが壊れるという事は考えていませんでした。しかし、最初の発振がうまくいっていないという事が判ったので、一次側の半導体の生死を確認します。

1) 半導体の生死の確認
ということで、最初のトランジスタの生死を確認しました。

そしたら、いきなりB-E間のショートを確認しました。

このトランジスタはとても重要なものです。
でも、B-E間のショートは、トランジスタのショートか電解コンデンサのショート意外に考えられません。しかも、トランジスタ電解コンデンサも新品です。

2)トランジスタの生死の確認
トランジスタを取り出し生死の確認を行いました。

やはり新品なので、全く問題なしです。電解コンデンサも確認しましたが問題なしです。

3)疑わしい場所
通常のトランジスタならE-B間なのですが、もし、トランジスタの足が違えば、E-Cのショートという事になり、その間にあるツエナーダイオードが怪しいことになります。

4)トランジスタを調べる
このトランジスタはBC547というトランジスタです。

トランジスタのデータシートを調べると、やはり通常のトランジスタと足のピンアサインが異なっていました。

ということはE-C間のツエナーダイオードがとても怪しいです。

5)ツエナーダイオードの生死の確認
ツエナーダイオードを取り出し、リードを付けて、生死を確認します。

何とツエナーダイオードはショートしていました。

5.ツエナーダイオードの交換
このツエナーは18V のツエナーダイオードです。先日の修理の時にツエナーダイオードセットを購入していたので、18V のツエナーもありました。これに交換します。

その他、トランジスタ電解コンデンサも元に戻します。

6.動作確認
さあ、いよいよ動作確認です。

確認結果、無負荷状態で、±40V、+20Vの直流電圧を確認出来ました。
やりました!
ブリリアント電源が復活しました。



今回は、先日修理が完了したブリリアント電源をリファレンスとして波形を追いかけたので、とても短時間で修理が出来ました。ブリリアント電源をお貸しいただきました前回の依頼の方に感謝申し上げます。
いやー、スイッチング電源の修理は大変ですが、今回も何とか復活出来ました。
達成感ありです。