クリスキットの基板を用いたパワーアンプ(P-35T)の修理 ―その3―

皆さん、こんばんは、Tomです。昨日の台風は、寝ている間に通り過ぎたようですね。大変助かりました。皆さんの被害はありませんでしたか?Tomの方は幸い何ともなかったようです。

さて、今週から始まった、連載記事、クリスキットの基板を用いたパワーアンプ(P-35T)の修理のシリーズですが、今回はその3回目です。前回までは、スイッチの不具合が直り、ACのノイズは解消。そして、スイッチング電源を取り付けてみたというところで止まっています。今回は、どの様な物語が待っているのでしょうか?果たして犯人は見つかるか?名探偵Tomは勝利するのでしょうか?楽しみですね。


1.問題点の振り返り
 さて、もうひとつの問題を振り返りましょう。この問題は、右チャンネルに突然ノイズが乗るという事。ノイズと言っても半端なものではありません。なにせ、マイナス電源(-24V)迄引っ張られるので、それが長いとDC電源になり、スピーカーが吹っ飛ぶ事になりますので、ただものではありません。

2.電解コンデンサの交換

 既にファイナルは外してあり、電源はスイッチング電源に変更してありますので、原因はドライヴの中にあるという状況迄追い込んでいますので、もう時間の問題でしょう。
 まずは、電源にノイズが載り、影響があったと考えられる電解コンデンサを交換します。もし影響がないとしても、気持ちが悪いのでやはり新品に変更しておきたいと思います。

すべて、50V品に交換しました。
しかし、結果は変わりなしですね。まあ、当たり前と言えば当たり前です。

3.交換実験 さて、今度は本題に入りましょう!今度は、-電源に振れるということから、ファイナルの前段のドライヴトランジスタが怪しいので、それを右左ペアで交換実験します。

 1)ヒートシンクを外す
作業性を考えて、ヒートシンクはすべて取り外し、ドライヴ基板だけにしました。
しかし、ファイナルへの配線を圧着端子に変更した事により、作業性がぐんと上がりましたね。やはりやって良かった。(^^)Y

 2)トランジスタにマーキングして取り外す
 右側のトランジスタにはマジックでマーキングし、どちらのものかが判るようにします。


4.右側のドライブ基板に左のトランジスタを載せ換え 
 右側のドライヴ基板に左側のトランジスタ(2SA606/2SC959)をペアで載せ替えました。結果、ノイズが治まりました。よし!最初からなかなか調子いいぞー!
どうやら、右側のドライヴトランジスタに問題がありそうですね。


5.右側のトランジスタを観察・・・・・・なんじゃこれは? 
 このトランジスタに原因がありそうですが、このトランジスタを購入するのは非常に難しく、ヤフオクでも2ペアで4000円近くします。なにせこのトランジスタは、80年代には既に製造中止となっているだけでなく、選別品だからです。 
 P-35Ⅲの時には、入手性の問題で別のドライヴトランジスタに変更になっていました。

そこで、まずはこのトランジスタをルーペで観察しました。するとこんな物が目に飛び込んで来ました。エミッタの足に絡みつく一本の黒ひげ。しかもそれがコレクタの筐体に触っているではありませんか?


6.清掃して元に戻す
Tomは、このヒゲに翻弄されていたのかと思うと情けなくなりました。この足元をしっかりとエレクトロクリーナーと歯ブラシで清掃し、元の基板に戻しました。

7.ファイナルを取り付けアイドル電流を調整
 暫く、その状態で1時間ほど放置してもノイズが乗らない状況でしたので、ファイナルを取り付け、アイドル電流を調整しました。
久しぶりのアイドル電流の調整なので、ちょっと緊張しますね。 

 1)ダミー(20Ω)を取り付ける
 まず、スピーカー端子に、20Ωのダミーロードを取り付けます。

 2)ファイナルを取り付けテスターをセッティング
 ファイナルのコネクタを接続します。そのうちのコレクタ一本はテスタに接続します。ここでもこのコネクタは役に立ちました。今後はアイドル電流を調整するのはとても簡単ですね。

 3)アイドル電流の調整
 最初アイドル電流を見たら、なんと50mAくらいしかありません。どうしてだろう?確か100mAに調整したはずなのに?と思いましたが、すぐに判りました。以前トランスの電源の場合は、電源電圧が±30Vでした。しかし、今回スイッチン電源に変えたので、±24Vになっていたんですね。その為アイドル電流も下がったのでしょう。そうとわかればボリュームを上げて100mA以上に調整します。今回は110mAにしました。  
オフセットも調整して、ファイナルの調整は終了。

 

8.ジャンクスピーカーで確認
これからは、実際にスピーカーを繋いで暫く様子を見ます。いきなりタンノイ君に繋いでスピーカーをふっ飛ばすとまずいので、まずはいつものようにジャンクスピーカーを繋いで確認します。
大丈夫の様ですね。

9.自作スピーカーで暫く様子見
アンプをラックにセッティングし、タンノイの上にある自作10cm2ウェイスピーカをつなぎ、暫く様子を見ます。

思わぬところにヒゲがありました。自作した時にはちゃんとリードを磨いたはずなのですが、あのヒゲはいつ付着したものなんでしょうね〜。でも、これで直ればTomはとても嬉しいです。どうか、もうノイズが出ません様に・・・・・・・。