こんばんは、Tomです。今日はチリでM8.3の大きな地震がありました。津波が日本に到着するのは明日の午前3時という事です。予測では1m未満の津波と言う事ですが、三陸の皆さまはご注意ください。
さて、今日帰宅すると、荷物が届いておりました。先日、ジャズフェスでお会いしたジャズピアニストの稲垣達也さんからの修理依頼です。
これは、SONYのCDレコーダーでCDR-W33というものです。故障の症状は、CDのトレイの不具合と言う事でした。
1.症状の確認
それでは、早速症状の確認をしてみましょう。電源をつなぎスイッチオン!
あれ?自動的にトレイが開いてしまいます。
これは大変ですね。
2.筺体のバラシ
それでは、早速筺体をバラしてみます。
3.再度状態の確認
CDユニットが見えてきた状態で、症状を確認します。
電源ON!
すると、今度は、先ほどまで出ていた、トレイがオープンする症状が出なくなりました。
そこで、何度もトレイの開閉を行っていたら、症状が出始めましたので、OKの時とNGの時のCDユニットの状態を詳しく観察してみました。するとNGの時にはある共通点がある事が判りました。
1)OKの時
OKの時は、トレイが閉まると、CDをクランプする中心のスピンドルが回転し、ピックアップも動き出し、CDを探しに行きます。
そして、CDがないので『No Disc』と表示します。
2)NGの時
NGの時は、トレイが閉まってしばらくしても、センターのスピンドルが回転しません。
これは変ですね。CDユニットを取り出してきちんと観察する必要があります。
4.CDユニットの取出し
CDユニットの取出しはけっこう簡単かと思いましたが、外れる場所が見つかるまで苦労したので、写真の枚数が多くなりますが、同じ悩みの方の為に、キチンとアップしておきます。
1)CDユニットを固定している板金のビスを外す
最初は、かきの写真のようにCDユニットを固定している板金を外せば良いと思いましたが、これだけでは、取り出せませんでした。
2)操作パネルを外す。
次に操作パネルを外し、CDユニットの手前の部分をむき出しにしました。
①まずはつまみ類を外し、フロントパネルのビスを外す
でもこれでは、外れませんでした。
②操作部ユニット毎取り外す。
これでやっとCDユニットがむき出しになりました。
3)CDユニットを取り出す
ここまで来て、やっとCDユニットを取り出す方法が見つかりました。
この状態で動作させる為に、先ほどの操作部を元に戻します。
これで、CDユニットを外に出し、観察しやすくした状態で、CDを動作させる環境が整いました。
5.症状の確認
何度もトレイを開閉して、OKの時とNGの時の状況を確認しました。
すると、OKの時には、CDユニットのピックアップユニットがきちんと持ち上がるのに対し、NGの時には、それが途中で止まって、トレイのモーターが回転している状態(つまりCDが挟まっている状態)と認識して、トレイが開くという事が判りました。
1)OKの時
ピックアップユニットがきちんと持ちあがりスピンドルのマグネットを持ち上げている
2)NGの時
ピックアップユニットが最後まで持ち上がっていない(写真がピンボケでごめんなさい)
6.CD開閉モーターのベルトのメンテナンス
この症状は、昔のCDプレイヤーでは、良くあることで、他の動作は全く問題ないのに、これで買い替える人は沢山います。
この原因は、実はベルトが劣化してスリップして、最後のピックアップユニットを持ち上げる事が出来ない為に起きているんです。
これがそのベルトです。
早速対策しましょう!
1)ベルトとプーリーを脱脂する。
まずは、ベルトとプーリーをエレクトロニックスプレーで脱脂します。
これで動作確認を行った結果、ほぼ問題なく動作するようになりました。
2)駄目押しの一手
脱脂により、ほぼ問題なく動作するようになりましたが、このベルトはもう伸びきっているので、摩擦が無くなったらまた同じ症状が発生するかもしれません。そこで、このベルトにもう一つベルトがかけられないかを検討しました。
台所に行き、小さい輪ゴムがないか探してみました。すると、こんなに小さな輪ゴムがあるではないですか?カミサンに感謝です。
6.動作確認
それでは、ダブルベルトの状態でCDユニットの動作を確認します。
1)CD無しでの確認
まずはCDなしでの確認を行います。
結果、50回開閉しても問題はありませんでした。
2)CD有りの状態での確認
次に、実際にCDをトレイに載せて、キチンと動作するかどうかを確認します。まれに、CDが重くてピックアップユニットが持ち上がらない場合があるからです。
結果、CDありの状態で50回開閉を行っても問題ありませんでした。
ここまで来ればOKでしょう!
7.組み立てと清掃
それでは、組み立てを行い、清掃をすればOKです。
1)組み立てまずは、バラシの逆を行って組み立てを行い、動作を確認。
2)清掃
いつものマジックリンと歯ブラシで筺体、フロントパネル、リアパネルをピカピカにします。
⑪筺体の清掃
②リアパネルとコネクタの清掃
③ツマミも綺麗に洗浄して取り付け
8.動作確認
最後にCDを再生し、ヘッドフォンで音を確認します。ヘッドフォンは、Tomお気に入りのSHUREのヘッドフォンです。
9.完了!
今回修理は、小一時間で完了しました。
筺体もピカピカ、トレイの開閉も完璧です。
これで、後10年は使用可能でしょう!
稲垣さん、無事修理は終了しました。
これからも大切にご使用下さい。
これで、自分で演奏した曲をCDに焼く事が出来ますね。
お力になれて良かったです!
イェーイ!