TEACオープンリールデッキ A-2300Sの修理 ーその7ー

こんばんは、Tomです。今日の最低気温は-4℃、そして日中は晴れ上がり、最高気温は8℃と程々の天気でした。この3連休はこのような天気になりそうですね。嬉しいです。
さて、今日の話題も昨日に引き続き『TEACオープンリールデッキ A-2300Sの修理』の話でその7となります。前回は、ヘッドアンプのメンテナンスを行いましたが、残念ながらノイズは解消せず、逆にLチャネルの音声が聴こえなくなってしまいました。
今回はその不具合を追求して行きます。

1.マイク・ヘッドアンプの音声不具合の解消
まずは、突然Lチャネルのテープからの音声が聴こえなくなった不具合の解析です。

1)トランジスタの出力を確認する
オシロスコープを使用して、各トランジスタの出力がどこで途切れているかを確認しました。

すると第一段目のトランジスタでも、出力が出てきませんでした。

2)不具合を探る
これまでの不具合を考えると入力のハーネスの断線が最も考えられます。
ハーネスを取り外すと、やはりハーネスの半田付けがはずれていました。

これで1つ目の問題は解消ですね。

2.トランジスタを取り換えてノイズの確認を行う
次に、初段から一段ずつトランジスタを交換して行きます。

2段目です。

3段目は初段と同じ2SC1815 に変更しました。

3個交換しても、ノイズが取れません。

3.入力のバイポーラコンデンサの交換
これまで、電解コンデンサトランジスタを交換しましたが、ノイズが取れませんでした。
これまで、入力のアップリングコンデンサはバイポーラなので、そのまま使用していましたが、これが信号に直結しますし、一番怪しいです。

1)カップリングコンデンサの容量確認
カップリングコンデンサの10μFのバイポーラ電解コンデンサを取り出し、容量を確認します。

容量は10μFきちんとあります。

2)コンデンサの交換
しかし、音質の向上も踏まえてこのコンデンサMUSEsの10μFバイポーラに交換します。

4.動作確認
動作を確認します。

1)テープ再生前の確認

見事にノイズが無くなりました!
やはり、容量があっても古い電解コンデンサは交換しないといけませんね。

2)テープの再生・・・・でもまた問題が!
次にテープを再生してみます。
テープスピードがノーマルの時は問題なく再生されました。

次に、ハイスピードに切り替えてみます。
すると、今度はLチャネルの出力がものすごく大きいです。

これは、ハイスピードのFB回路がおかしいですね。

5.不具合の解析
回路図を見ると9.5m/sと19m/sのイコライザを切り替える為に、スイッチでボリュームをショートさせる仕組みです。
そこで、スイッチを切り替えてボリュームがショートされるかを確認します。

1)9.5m/sの確認

2)19m/sの確認

こちらは、ショートされません。という事はスイッチがNGか、途中でパターンが切れている可能性があります。

3)パターンをチェックする
スイッチは既に接触不良解消のメンテナンスをしておりますので、パターンを追いかけます。
するとパターン切れが見付かりました。

4)パターンを修正

これで最後の問題も解消されました。

6.動作確認
これで全ての不具合が解消されたと思いますので、動作確認を行います。

1)再生

問題なしです。

2)録音・同時モニタ
次に録音モードにし、録音しながら録音された音をモニタします。

大丈夫ですね。
但し、経年劣化もあり、音が少しこもっていますし、左右のバランスが少しずれています。
でもこれは致し方ないですね。

トランジスタカップリングコンデンサを新しいものに交換したせいなのか、Lチャンネルの方が少し出力が大きい様です。

7.Rチャネルのカップリングコンデンサトランジスタの交換
Lチャンネルの特性と合わせるために、Rチャネルのカップリングコンデンサトランジスタも交換します。

交換をしましたが、思ったほど変化はありませんでした。
そこで、マイク・ヘッドアンプ基板を組付けます。



これで、これまでの一連の不具合は解消されました。
次回は、仕上げ前の改良を行います。
さて、何を改良するのか?
お楽しみに!